
大雨で道路が冠水していても、「浅そうだから通れそう」と判断して進入するのは危険です。
冠水路は車内から正確な水深を確認できず、路面のくぼみや外れたマンホールが水中に隠れている場合もあります。
前の車が通過できたからといって、自分の車も安全に走り切れるとは限りません。
もし冠水路で車が動かなくなった場合は、人命を優先して避難し、止まったエンジンをかけ直さないことが重要です。
駐車中などに車が浸水したケースでも、水が引いた直後の始動や自走は避けましょう。
この記事では、冠水路へ入ってはいけない理由をはじめ、車が浸水したときの行動、エンジンをかけてはいけない理由、水が引いた後に必要な点検を順番に解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
| いまの状況 | 最初にすること | 避ける行動 |
|---|---|---|
| 冠水路の手前 | 手前で止まり、別の道へ回る | 前車に続いて進入する |
| 水の中で停止 | 人命を優先して避難する | エンジンの始動操作を繰り返す |
| 車内へ浸水 | 開くうちにドアや窓から脱出する | 脱出できる状況で車内にとどまる |
| 水が引いた後 | エンジン始動せず、搬送と点検を依頼する | 動くか試すためにエンジンをかける |
監修者
(株)STAY GOLD:Garage RedLine 代表 久保田 将平

Garage RedLine創業者。幼少期から車に親しみ、板金・カスタムの現場で技術を磨く。
2018年に独立し、現在は自社で多様なカスタム・整備に対応。TRY-XやXCT-Dualをはじめとしたレース・クロカン優勝経験を活かし、実践的な知識で監修を担当。
現在もドライバーとして活動している。
久保田 将平
この記事を書いた人
Garage RedLine Style 編集部

Garage RedLine Style 編集部は、4WD・旧車・カスタムカーを中心に、車両整備やパーツ、イベント、北海道ならではのカーライフ情報を発信する編集チームです。
実際の整備現場やイベント運営の視点をもとに、読者が安心して車を楽しめる情報をお届けします。
Garage RedLine Style 編集部
冠水時は人命を最優先に行動する

冠水路では、車を壊さないことよりも、自分と同乗者の安全を確保することが最優先です。
水深や路面の状態は見た目だけでは判断できず、進入してから水位が上がると脱出が難しくなるおそれもあります。
冠水路へ入る前なら別の道へ迂回し、すでに車内へ水が入り始めている場合は早めに避難してください。
冠水路へ入る前なら手前で引き返す
前の車が通過できても、自分の車まで安全に走り切れるとは限りません。
車高や吸気口の位置が異なるほか、前車や対向車が作る波によって、一時的に水位が高くなることもあります。
手前で止まる理由
- 水深や流れを正確に把握できない
- 外れたマンホールや側溝、路面のくぼみが水中に隠れている
- 進入後に水位が上がると引き返せなくなる
浅く見える場合でも、安全だと判断して冠水路へ進入するのは避けましょう。
冠水路を走行しないことが一番の対策です。
JAF「冠水路走行の危険性」
車内へ水が入り始めたら早めに脱出する
冠水路の途中で動けなくなり、車内へ水が入り始めたら、走行を続けようとせず脱出へ移ります。
まずエンジンを停止してシートベルトを外し、ドアや窓から車外へ出られるうちに避難してください。
水位が上がると外側から受ける水圧が大きくなり、ドアが開きにくくなる可能性があります。
脱出するときの順番
- エンジンを停止し、シートベルトを外す
- 開くうちにドアや窓から車外へ出る
- 同乗者の安全を確認し、周囲の状況に注意しながら安全な場所へ避難する
- 安全を確保してから119番・110番・ロードサービスへ連絡する
パワーウインドウが作動せずドアも開かない場合は、緊急脱出用ハンマーで割れる窓からの脱出を試みます。

フロントガラスや一部車種のサイドガラスには合わせガラスが使われており、緊急脱出用ハンマーでは割れない場合があります。
自分の車で脱出に使える窓を、取扱説明書などで事前に確認しておきましょう。
冠水時にやってはいけない5つの行動

冠水時は、道路へ進入する前だけでなく、車が止まった後や水が引いてからの行動にも注意が必要です。
浸水した車は外から問題がないように見えても、エンジンや電装品の内部まで水が入っている可能性があります。
動くか確かめようとせず、安全を確保してからロードサービスや整備工場へ連絡してください。
故障や事故につながるため、次の5つの行動は避けましょう。
故障や事故につながる5つの行動
冠水路を速度を上げて走ると、車体が巻き上げる水の量が増え、吸気口からエンジン内部へ水が入りやすくなります。
浅く見える場所でも安全とは判断せず、冠水している道路には進入しないことが大切です。
また、いったん水に浸かった車は、エンジンをかけたり自走させたりせず、点検を受けてから使用してください。
ハイブリッド車や電気自動車には高電圧のバッテリーが搭載されているため、浸水した電装品や高電圧部品へむやみに触れるのも避けましょう。
自分でエンジンをかけないでください。
国土交通省「水に浸った車両の取り扱い」
なぜ冠水路を走るとエンジンが止まるのか

冠水路を走ると、車が巻き上げた水を吸気口から吸い込み、エアクリーナーを通ってエンジン内部まで達するおそれがあります。
水の影響を受けるのは吸気系だけではありません。
水位が高くなるにつれて排気系や電装品にも影響が及び、エンジン停止や始動不良につながる可能性があります。
吸気口から水を吸うとエンジン内部を壊すおそれがある
エンジンは吸い込んだ空気をシリンダー内で圧縮し、燃焼によって動力を生み出します。
しかし、水は空気のように圧縮できません。
シリンダー内へ水が入った状態でピストンが動こうとすると、コンロッドをはじめとした内部部品へ大きな負荷がかかります。
水がエンジンへ届く流れ
水を吸い込んだ可能性がある状態でセルを何度も回すと、内部部品の損傷を広げるおそれがあります。
冠水路でエンジンが止まった場合は、再始動を試さず、そのままロードサービスや整備工場へ連絡してください。
排気系や電装品にも水の影響が及ぶ
水位がマフラー付近まで上がると、排気が妨げられてエンジンの出力低下や停止につながる可能性があります。
ECUやセンサー、コネクターなどの電装品へ泥水が入り込めば、正常に作動しなくなるおそれも否定できません。
その場では走行できても、時間がたってから警告灯や始動不良などの症状が現れるケースも考えられます。
排気系
マフラー周辺まで水位が上がると、排気が妨げられる可能性があります。
電装・ECU
水や泥の侵入によって、短絡や誤作動、接触不良などにつながるおそれがあります。
吸気系
エアクリーナーや吸気経路へ水が入り、エンジン内部まで達していないか確認が必要です。
車が水に浸かる深さで何が変わる?

イラストは、左から低い水位、床面付近、ドア中央付近まで水位が上がった状態を示しています。
冠水路には、「この水深までなら安全」と言い切れる基準はありません。
同じ水位でも、車高や吸気口の位置、走行速度、水の流れ、対向車が作る波などによって車への影響は変わります。
ホイール中心より低く見えても進入しない
タイヤの一部しか水につかっていないように見えても、その先まで同じ水深とは限りません。
濁った水の下に路面のくぼみや段差が隠れているほか、対向車が作る波によって一時的に水位が高くなることもあります。
この段階でも考えられる危険
- 水中の段差や穴へタイヤを落とす
- 波によってエンジンルーム付近まで水が上がる
- ブレーキや下回りへ泥水が入り込む
見た目の水位が低いことは、安全に通過できる根拠にはなりません。
冠水している道路を見つけた場合は、そのまま進入せず別の道へ迂回しましょう。
水がドア下端や床面付近へ達すると室内・電装品へ影響する
水位がドア下端や床面付近まで上がると、車内へ浸水する危険が高まります。
床下には配線や電子部品が配置されている車種もあり、泥水が入り込めば電装系の不具合につながりかねません。
水位が上がることで考えられる影響
- 室内のカーペットや床下への浸水
- 配線やコネクターなどへの水の侵入
- 水圧によってドアが開きにくくなる
車内へ水が入り始めてから避難方法を考えるのではなく、危険を感じた段階で早めに脱出へ移ることが重要です。
水位が高くなる前に車外へ避難する
車の周囲で水位が上昇すると、外側からドアにかかる水圧も大きくなり、自力で開けることが難しくなります。
車内へ水が入り始めた場合は、そのまま様子を見続けず、ドアや窓から出られるうちに安全な場所へ避難してください。
パワーウインドウが作動しない状況にも備え、緊急脱出用ハンマーは運転席から手の届く場所へ固定しておくと安心です。
JAFの冠水路走行テストでは、水深30cm・進入速度30km/hの条件でも、車種によって部品の脱落やボンネット内部への浸水が確認されました。
ガソリン車では、車内への水の侵入も発生しています。
実際の冠水路では水深を正確に把握できないため、浅く見える場合でも進入を避けてください。
水が引いた後も点検前にエンジンをかけない

水が引いても、車が動くか確かめるためにエンジンをかけるのは避けてください。
走行中に冠水路へ入った車だけでなく、駐車中に浸水した場合も同様です。
まず被害状況を記録し、始動せずにロードサービスや整備工場へ相談しましょう。
始動せずに記録・保険連絡・搬送を進める
浸水した車は、外から問題がないように見えても、エンジンや電装品の内部へ水が入っている可能性があります。
メーターを確認するためであっても、イグニッションや始動スイッチをむやみに操作するのは避けたほうが安全です。
水が引いた後の4ステップ
- 周囲の安全を確認してから車へ近づく
- 車全体や水位の跡、浸水した場所を撮影する
- 保険会社とロードサービスへ連絡する
- 自走させず、積載車などで点検先へ運ぶ
車両保険で補償を受けられるかは、加入している契約内容によって異なります。
片付けや修理を始める前に、撮影しておくべき箇所や今後の手続きについて保険会社へ確認しておきましょう。
エンジンをかけてしまったら、それ以上始動や走行をしない
水が引いた後にエンジンをかけてしまった場合は、それ以上の始動や走行を控えてください。
すぐに異常が出ていなくても、エンジン内部や電装品へ水が入り、後から不具合が現れる可能性は残ります。
ロードサービスや整備工場へ連絡し、始動後の状況を伝えましょう。
連絡時に伝えること
- 始動操作をした回数
- エンジンを動かしていた時間
- 警告灯・異音・振動・白煙・焦げた臭いの有無
目立った症状がない場合でも、そのまま普段どおりに走らせるのは避けてください。
浸水した高さや始動の有無を伝えたうえで、必要な点検を受けることが大切です。
冠水後はエンジン以外の点検も必要

浸水した車は、エンジンだけ確認すればよいわけではありません。
水が入り込んだ高さによっては、ブレーキや駆動系、電装品、室内の安全装置など、幅広い箇所に影響が及ぶ可能性があります。
エンジンが始動できる場合や室内が乾いているように見える場合でも、点検を受けずに問題ないと判断するのは避けましょう。
吸気・エンジン
エアクリーナーやエンジンオイルの状態を確認し、吸気経路やシリンダー内部へ水が入っていないか点検します。
配線・ECU
コネクターや配線に残った水分、泥の付着、腐食や接触不良などがないか確かめます。
ブレーキ・駆動系
ブレーキ周辺をはじめ、ベアリング、トランスミッション、デフなどへの水や泥の侵入も確認が必要です。
室内・安全装置
カーペットの下や床下配線、シートベルト、エアバッグ関連部品などを点検し、残った水分や泥も取り除きます。
特に泥水が入り込んだ箇所は、見た目が乾いていても内部に水分や汚れが残っている場合があります。
時間がたってから腐食や接触不良、不快な臭いなどが発生することもあるため、早めに状態を確認しておくことが大切です。
浸水後のサビや腐食が気になる方は、以下の記事で車のサビを確認するポイントや修理方法を紹介しています。
点検後に自分で確認できる項目については、車の日常点検の記事も参考にしてください。


浸水した車の故障や不調はガレージレッドラインへご相談ください

ガレージレッドラインでは、浸水した車の状態確認や点検、修理についてご相談を受け付けています。
必要な作業や搬送方法は、車種、浸水した高さ、エンジンを始動したかどうか、現在の車両状態によって判断が必要です。
自走できそうに見える場合でも、まずはエンジンをかけずにご連絡ください。
- 車全体と、水位の跡が分かる写真
- 警告灯が点灯している場合はメーターの写真
- 車内へ水が入った場合は浸水した場所の写真
写真は、安全に撮影できる範囲で構いません。
ガレージレッドラインでは費用感のご相談だけでも承っております。
豊富な知識と経験をもとに専門スタッフがお客様に最適なプランをご提案可能です。
どんなことでも構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。
災害時の悪路に備えるならリフトアップも選択肢のひとつ

大雨や災害に備えて車の走破性を高めたい場合は、リフトアップカスタムも選択肢の一つです。
メリットとしては、冠水路への対応ではなく、災害後の荒れた路面や段差を含めた悪路で最低地上高を確保しやすくなる点にあります。
また、積雪が多い北海道でも有効なカスタムと言えるでしょう。
ただし、リフトアップした車なら冠水路を安全に走れるというわけではありません。
車高にかかわらず、道路が冠水している場合は進入せず、安全なルートへ迂回してください。
ガレージレッドラインでは、ランドクルーザーやジムニーをはじめとした4WDのリフトアップに対応しています。
普段の使い方や走行する場所、希望する車高などを確認しながら、車両に合ったカスタムをご提案可能です。
リフトアップは本当に必要?オフロード走行での効果と注意点を解説記事でも詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
冠水した車についてよくある質問(Q&A)

- タイヤの半分くらいの水深なら走れますか?
-
水深が浅く見えても、冠水路へは進入しないでください。
タイヤの高さだけでは実際の水深を判断できず、水中に段差や穴が隠れている可能性もあります。走行速度や対向車が作る波によって水位が一時的に高くなり、吸気口から水を吸い込むおそれもあるためです。
- 冠水路を通過した後、普通に走れていれば大丈夫ですか?
-
問題がないとは言い切れません。
吸気系や電装品、ブレーキ、ベアリング、床下などへ水や泥が入り込んでいる可能性があります。その場では異常がなくても、時間がたってから警告灯の点灯や腐食、不具合が現れるケースもあるため、気になる場合は点検を受けましょう。
- 冠水後にエンジンをかけてしまいました。どうすればよいですか?
-
それ以上の始動や走行は控え、ロードサービスや整備工場へ連絡してください。
相談する際は、始動した回数やエンジンを動かしていた時間、警告灯、異音、振動などの有無を伝えると、車両状態を確認する手掛かりになります。
- 洗車して乾かせば、そのまま乗れますか?
-
外側の泥を落として乾燥させただけでは、車両内部への影響までは確認できません。
配線やコネクター、駆動系、床下などに水分や泥が残っている場合もあるため、自走する前に浸水した高さに応じた点検を受けてください。
- 大雨による冠水は車両保険の対象ですか?
-
補償を受けられるかどうかは、加入している車両保険の契約内容によって異なります。
安全を確保したうえで車全体や水位の跡を撮影し、片付けや修理を始める前に保険会社へ確認しておきましょう。
まとめ|冠水路には入らず、浸水後はエンジンをかけない

冠水路は、見た目だけで水深や路面の状態を判断できません。
前の車が通過していたり、水位が低く見えたりしても、安全に走り切れる保証はないため、冠水している道路には進入せず迂回しましょう。
もし車が水に浸かった場合は、エンジン内部や電装品などへ水が入り込んでいる可能性があります。
水が引いたあとも動くか試そうとせず、点検を受けるまでは始動や自走を避けてください。
浸水した車は、外から問題がないように見えても、吸気系や電装品、ブレーキ、駆動系などに影響が残っている場合があります。
ガレージレッドラインでは、浸水した車の状態確認や点検、修理についてご相談を受け付けています。
まず人命を優先して安全を確保し、その後の車両対応で迷った場合は、車種や浸水した高さ、始動の有無などをお知らせください。

